フリーランスを保護する新法が動きはじめました。


 

フリーランスの保護が動き出す。

日経新聞に、「政府は組織に属さずフリーランスとして働く人を下請法の保護対象に加える調整に入った。一方的な契約変更や買いたたきといった不公正な取引から守る。2023年の通常国会への関連法案の提出をめざす」(2022年9月5日)と報じられていました。
以前から政府はフリーランスの保護に乗り出すと言っていましたが、ようやく本腰を入れ始めたようです。
そこには、2023年から導入されるインボイス制度によって、今まで消費税を払わなくても良かったフリーランスも、払うことを選択しなければいけなくなることに対する、不満の矛先をかわす意図があるのでは?と考えています。
でも、だからこそ、フリーランスの保護は徹底的に行われると予想しています。
そう言えば、このタイミングでテレビ番組『競争の番人』が放送されているのは、企業に対する注意勧告かもしれません。
 
「下請法」とは、正式には「下請代金支払遅延等防止法」という法律です。
https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/act.html
どのような法律かは、公正取引委員会がwebサイトに掲載しているパンフレットが詳しくて分かりやすいです。
※各種パンフレットの「下請法関係」にいろいろあります。
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.html
 
「下請法」は、1956年(昭和31年)に公布されており、ことさら新しい法律ではありません。
下請法違反で取り上げられるのは多くが大手企業。公正取引委員会の「下請法勧告一覧」で公表されている内容を見ると、その額は数千万円規模。
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukekankoku/index.html
方やフリーランスの被害額は数十万円から数百万円程度。
公取が少額案件で動くはずがないと思っていました。でも、今後は厳しく取り締まるようになるかもしれません。
 
フリーランスである僕が下請事業者として、ちょっと気になる親事業者の「下請法的にちょっとヤバくないですか?」ということを書いておきたいと思います。
※僕は法律の専門家ではないので、あくまでも危惧することを挙げただけです。具体的な対策は法律の専門家に相談されることをおススメします。

下請法的にちょっとヤバと思うこと。

下請法の禁止行為はいろいろありますが、最も多いのは「下請代金の支払遅延」です。
「えっ! 下請代金の支払遅延はしていないよ」というクライアント(親事業者)は多いと思います。
でも、下請法を理解していないことで知らず知らずのうちに間違っているケースがあるのです。

下請法では「親事業者は、下請事業者との合意の下に,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず、下請代金の支払期日を物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める義務があります。(下請法第2条の2)」としています。
この決まりから以下のような問題が発生します。
 
●月末で絞めて翌月末に支払っている。
「受領日」とは、僕のようなライターの場合、原稿を渡した日となります。
※ただし、最初に「〇日に納品のこと」と約束していた場合、その前に原稿を渡したとしても約束の日が受領日となります。
例えば、9月1日に納品した場合、9月30日の時点で30日が経過しており、10月の末日である31日に支払ったとしても61日目となり、下請法に違反している、となります。
 
●請求書が届いていなかったから支払いができなかった。
下請法に「物品等を受領した日から起算して60日以内でできる限り短い期間内」とあるように、請求書の有無は関係ありません。つまり、請求書が届いていなくても支払いをしなければならないということです。会社が請求書がなければ支払いの処理ができない、というのであれば、フリーランスに請求書を請求しなければなりません。
 
●原稿を受領した後に検収し、検収でOKとなった日を受領日にしている。
下請法では「検査するかどうかを問わず」とされているため、未検収だからは理由になりません。
 
●会社の支払いサイトで、翌々月末払いとしている。
間違いなく下請法違反です。
 
※親事業者が支払期日までに支払わなかったとき、遅延利息を支払う義務が課せられます。
 
また、「下請代金の支払遅延」以上に多いと思われるのが「支払いの減額」です。
「えっ! 支払いの減額は絶対にしていない!」というクライアント(親事業者)は多いと思います。
支払代金から銀行の振込手数料を差し引くことはよくありますが、これが支払いの減額に当たります。
同一銀行間の送金手数料は無料なのに、振込手数料を差し引くことは支払いの減額に当たりますし、ネット銀行での振込手数料は無料となっているのに従来のまま差し引いているとやはり、支払いの減額に当たります。
 
 
これは僕も知らなかったのですが、ある弁護士さんの記事には「公正取引委員会の必要な検査を拒んだ場合などには50万円以下の罰金が科される場合があります。この罰金は、当該違反行為をした人物のみならず、その人物が属する会社にも科されます」
https://www.authense.jp/komon/blog/2068/#toc-3
とあります。なんと、「罰金は、当該違反行為をした人物」が支払わなければならないのです。これってヤバくないですか?
法律は「知らなかった」では許されませんし、下請法に時効はありません。下請法を知らなったために、担当が罰金を払わないといけなくなる可能性があるのです。
2023年から、フリーランスからの下請法違反の申告が吹き荒れると予想。ちょっと恐ろしいことになりそうです。
 


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